三日目の昼ごろまで麹菌を大豆と小麦に食い込ませたら、いよい桶に塩水と混ぜながら仕込みます(出麹)。
写真が出麹中の麹です。二日目に比べるといっそう麹菌が繁殖して緑色に変わっています。
このまま食べても美味しいです。栗のような甘さに深みが出ています。
香りもなんとも言えぬ良いものです。
麹がうまく出来て、ほっと一安心する時です。
仕込桶の様子です。
塩水は仕込んだ後の全体の塩度が17%~18%程の濃度を狙って調節します(諸味狙い塩分濃度)。
同量の原料で仕込んだものでも、麹の水分は毎回違うし、季節やその時の原料、その他諸々の影響で塩分濃度は変わってくるので仕込桶ごとに調べて確認します。仕込んだ後の塩分濃度は発酵〜熟成具合に決定的に関わっていて、味を決定すると言ってもよい程、大事なものです。
簡単に言えば、良い塩梅にするわけです。
当蔵では加工前の大豆と小麦の質量の同量の塩水(汲水)で仕込んでいます。
醤油業界ではこれを10水仕込と呼びます。例えば11水仕込は大豆5石+小麦5石に対して、塩水11石となります(1石は1斗の10倍、1斗は1升の10倍、1升は1合の10倍)。
当蔵の一回分の仕込量は、原料大豆300kg、原料小麦300kg、塩225kg+水
仕込を三度繰り返して、仕込桶が一杯になります。これを醤油屋さんによっては三段仕込みと言われているところもあります。
これまで書いた仕込の工程は主に10月から5月までの涼しい時期に行っております。当蔵のような小規模の醤油蔵では殆どそうだと思います。
寒い時期に仕込んだものほど、美味しい醤油になるという意見もありますが(寒仕込み)それは、日本酒の話と混同されている意見だと思います。日本酒は簡単に言えば冬に仕込んで春に絞る温度が上昇していく過程の期間だけ醗酵させます。醤油は天然醸造だと最低でも一年半は醗酵~熟成させたほうがよろしいので、実際は春先に仕込むのが一番良いと思っています。冬仕込みだと中々スムーズに醗酵していかないのが経験上分ります。
ただ、日本酒より醗酵期間がかなり長いので別モノですよ。と言いたいだけです。
次回は仕込み終わった後、混ぜる工程です(荒櫂)。
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